光アジド化論文が採択、公開されました!

Organic Lettersに光アジド化論文が採択されました!この研究は江蔵くんと僕が東京医科歯科大(現 東京科学大学)細谷研究室にいたときから行ってきた内容です。以下、江蔵くんからの論文説明と感想です。

【研究背景と内容】紫外光照射下、芳香族トリアゼンを芳香族アジドに変換する反応を開発しました。芳香族アジドは2022年のノーベル化学賞の受賞分野であったクリックケミストリーにおいて最も利用されている化合物であり、今回その新たな合成法を開発しました。開発した反応は広い基質適用範囲を示したほか、タンパク質表面上に導入された芳香族トリアゼンのアジド化にも適用できました。これらのことから、本反応が有機合成分野だけでなくケミカルバイオロジー分野においても利用可能であることが示されました。

【感想】大学4年生の冬、当時は別のテーマに取り組んでいましたが、研究に対するやる気が高まり、細谷先生と丹羽先生に直談判してサブテーマとして始めたのが今回の研究でした。修士課程が始まる頃に様々な事情が重なり、この研究がメインテーマとなりました。
当時所属していた細谷研究室にはトリアゼンを活用している人が少なく、右も左もわからない状態からのスタートでした。トリアゼンに関する論文やレビューを読みながら一つひとつ理解を積み重ねる日々は大変でしたが、少しずつ自分の中で理論と実験がつながっていく感覚があり、日々成長を感じてました。
さらに大学4年生の終わり頃、指導教員の丹羽先生が栄転されるという予想外の出来事がありました。気軽にディスカッションできない環境の中での研究は、正直苦しかったです。それでも、丹羽先生が月に一度東京に来てくださり、実験データを見ながら丁寧にアドバイスをくださったこと、さらに細谷研のスタッフの田口先生、隅田先生や細谷先生からアドバイスをいただいたおかげで、少しずつ研究を前に進めることができ、今回論文化できました。
今振り返ると、知識も技術も未熟な状態から始めたテーマでしたが、試行錯誤を重ねる中で、研究の楽しさと奥深さを改めて実感することができました。この研究を通じて感じた「研究の楽しさ」を忘れずに、これからも続けていきたいと思います。 最後になりますが、論文投稿にあたり、共同研究者である福田さん、喜井先生渡邊先生、そして指導教員である丹羽先生、細谷先生にこの場を借りて心より感謝申し上げます。

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